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デフアカデミー6周年!一緒に子どもたちが成長してくれたからこそ、実現できた宮城サマーキャンプ
デフアカデミーが6周年を迎えました
2017年にデフアカデミーがオープンしてから、今年の9月1日で、丸6年が経ちました。
手探りしながら、でも、必死に突っ走っていたオープン当初。
徐々に課題や必要なことが整理されていき、プログラムも形になりつつあった時期。
…と思えば、コロナウイルスの大流行。
ようやく落ち着いた今、気がつけば、オープン当初から一緒に走り続けてきてくれた子どもたちとの関わりも6年が過ぎようとしていました。
当初小学校3年生、4年生だった子たちが、今や中学生。
今回は、そんな彼らと一緒に仙台という大阪から遠く離れた土地へ一緒に行こう!そう決心したのは私たちにとってもとても大きなチャレンジでした。
子どもたちに贈りたいこと
デフアカデミーでは、自己決定に繋がる内発的動機を育てていくことに注力しています。
聞こえないことで、結論のみを知りプロセスを知る機会がない、時間がかかるなどの理由で来ることのない「後で」を待ち続ける・・・
そんなことが日常的に繰り返されてしまいやすい社会の中で「自分らしく生きる」ため、物事にはプロセスがあるということ。
今のままで、十分あなたたちは素晴らしいということ。
目標に向かって仲間と協力しあって達成する喜び。
…などを子どものうちにたくさん経験してほしい!
そんな思いでさまざまなプログラムを実施しています。
宮城(東松島)へ!震災・防災の学び
デフアカデミーで日々行われるプログラムの中で、成長を積み重ねてきた5人の中学生たちと、一緒に仙台での一泊二日のキャンプに参加してきました!
今回の中学生へのミッションは、
東日本大震災の被害について、自ら学び、デフアカデミーの子どもやその保護者の方達に伝えるということです。
キャンプは、「防災」をテーマにさまざまなプログラムが用意されていました。
<サマーキャンプコンテンツ>
(1日目)
- 防災イカダ作り体験,
- 無人島でビーチサッカー体験
- ASL(アメリカ手話)オンライン交流
- 語り部のお話を聞きながら防災について学ぶ
- ココログを使った交流( *デフアカデミーで使用している友達との交流ノート)
(2日目)
防災がテーマ。命の守り方を学ぶ
初日のハイライトは、なんと言っても、防災イカダ作り。津波や洪水に襲われたとき、イカダを自分たちで作れば、浮かぶ避難シェルターとなります。
震災から学ぶ、“命を救う”選択肢を、子どもたちへと伝承してくださいました。
海辺で、木や竹を組む作業は、協力がないとできません。
みんなで息を合わせて作業を進めます。
イカダを作ったことのない子どもたちは、ドキドキしながら、“本当に自分たちでも作れるのか?”、“作った後、向こう岸に見える、無人島へ行けるのか?”など心配もしながら、無事に向こうに見える、無人島へ。
達成感たっぷりのワークショップでした!
”チームで協力しながら、作れたのが楽しかった”
”初めての経験!ドキドキしたけど楽しかった!”
と子どもたちも感想を寄せてくれました。
目的を理解して、自ら動く
初日の夜に行われたのは、“ココログ”タイム〜!
“ココログ”とは、デフアカデミーが普段から使っている、友達記録ノートの名前です。
初めて会った子どもたち同士、短時間でも、深く相手を知るために、質問をしあって、答えを記録していくのです。
仙台の子どもたちにとっては初めて見るもの。
どう使うのか?どうコミュニケーションをとっていくのか?
普段、ココログを使い慣れているデフアカデミーキッズたちは、スタッフの指示なしで、自然とリーダーの心を持って、場をまとめる姿が見られましたよ。
仙台と大阪の子どもたち、“初めまして”同士の子たちも多い中、子どもたち自らお話を引き出そうと工夫して、場があたたまりました!
”目的を理解して、自ら動く”を実践していたことが印象的でした。
海からの恩恵に感謝して
二日目のハイライトは、刺し網漁!
刺し網漁とは、魚が泳ぐ通り道に、大きな網を海底から海面に向かって貼ります。その網があることで、魚が通り抜けられず、網に絡まることによって獲ることができる、昔ながらの漁法なんだそうです。
宮城では、海離れが問題となっていて、その地域で採れた魚をいまだに食べることができない人たちも多くいるという話を伺いました。
震災以降、海は危ない、というイメージを持つ人も多いそうですが、本来の自然の雄大さや美しさ、海からの恩恵を受けている感謝を、改めて教わりました。
さぁ、漁船に乗り込み、いざ海へ!
カモメが飛ぶ姿も見える海の真ん中で、漁師の方に見本を見せてもらいました。獲れた魚の捌き方も、目の前で地元の方に教えてもらうという体験も。
生き物の命を、私たちの力となる食べ物として、”いただく”ということを心から経験したのではと思います。
出発の空港ではワクワクな様子と少し不安そうな表情がみられていましたが、仙台ではおもいっきりのびのびと過ごし、帰りの空港では少し成長した凛々しい表情と、帰ってこれた安堵の表情が入り混じっていました。どん学校以外では初めて家族と離れて遠くに行く経験をする子、初めて飛行機に乗る子。
私たちスタッフも、改めて子どもたちの成長を振り返ることができた、とっても素敵で貴重な経験をさせていただいたと思っています。
またこのような機会を設けられるようにこれからも頑張っていこう、そんな気持ちになった旅でした。
”私たち親には体験させてあげられないことを体験させてもらえたので、とてもありがたいイベントでした。”
“1泊2日とは思えないほど充実したキャンプだった”
と親御さんや子どもたちから有り難くも、たくさんのご感想をいただいております。
デフアカデミーキッズが、キャンプでの経験で学んだことをいよいよ、9月11日に発表会を実施予定です。
私たちの提案を快く受け入れて、子どもたちの背中を押してくださった保護者のみなさま、本当にありがとうございました!
「これまで、ろう者・難聴者と関わってこれなかったから」「新しいチャレンジを応援したい」など理由は様々。皆様のお陰様で全力で「社会に必要なこと」にチャレンジできます。聴覚障害のある子どもたちを取り残さない社会を目指して。ご支援をお願いします。1,000人に1人の“耳が聞こえない子ども”が、そしてその保護者が、孤立しないために。今の時代だからこそできる支援環境をつくりたいです。
引き続き、応援および、ご寄付のご協力もお願いいたします。
https://silentvoice.org/donate/